酒販情報
日本酒や焼酎などを輸出できる免許は、
・全酒類卸売業免許
・輸出酒類卸売業免許
・自己商標酒類卸売業免許
この3つになります。
全酒類卸売業免許について
この免許については、どんなお酒でもすべて国内卸売、海外卸売をすることができますが、
毎年、9月に各都道府県ごとに発表される免許件数の数件に対して、抽選で当選した申請者のみ取得することができます。
その倍率はかなり低いもの。
さらに、販売数量100キロリットルと定められているため、年間100キロリットルの2ヶ月分の仕入れ資金は必要となってきます。
輸出をするためだけに取得を考えられるのであれば、この全酒類卸売業免許は現実的ではありません。
輸出酒類卸売業免許について
輸出による販売方法でしか売ることができない免許にはなりますが、日本酒や焼酎、ウイスキーを輸出されるようでしたらこの免許が一番取りやすい免許となります。
また申請するにあたり、先に取り扱う予定酒類、仕入先と輸出先をある程度確定しておかなければなりません。
具体的には、仕入先との仮契約書、販売先との仮契約書が申請する際に必要になります。
この免許取得のためには、
・今まで輸出等貿易の経験があるか
・資料その他から輸出することが確実であると認められるか
などが条件となってきます。
少しわかりにくいですが、上記の条件について
現在の売上はどうなのか、役員の経営能力はどうなのか、輸出することについて明確なビジョンと手続きについて、スキームができているかどうかなど担当者によって細かくヒアリングされ、それらについて書面上に示さなければ申請ができません。
さらに、担当者(輸出免許に慣れていない)によっては、曖昧な通達内容から輸出免許について関係のないことを理由に申請できないと言われる方もいますが、輸出免許については通達例示規定により経験3年などという条件は付けられていないので、これから初めて輸出を行われる方でも申請できる可能性はあります。
その他には過去3期分の経営状況も免許取得条件に含まれてきます。
自己商標酒類卸売業免許について
この免許はその名前の通り、自らが開発した商標または銘柄の酒類を国内卸売、輸出ができる免許になります。
免許取得の前提として自ら開発した商標または銘柄の酒類がサンプルとしてでもよいので、あるかどうかが必要となってきます。
また輸出卸売業免許の条件にはない次の経験条件もあります。
・酒類の製造、販売業に直接従事した経験が3年以上 または
・調味食品等の販売業経営経験3年以上
・上記の経験がない場合にはその他の事業経営経験と酒類販売管理研修の受講など
などの条件が必要となってきますので、輸出酒類卸売業よりも取得するのが難しく、さらに輸出酒類卸売業で日本酒、焼酎、ウイスキーなどの販売免許取得できれば輸出に限ってはこの免許は必要ありません。
以上、これら3つの免許が日本酒や焼酎を輸出するために取得される免許ですが、現実的に取得しやすい免許としては輸出酒類卸売業免許だといえるでしょう。
ここからは確定していることではありませんが、
輸出に関して、その契約地が海外である場合、日本で仕入れをすることができる免許があれば、輸出ができるという解釈ができます。
なぜかというと、酒販免許を規定している酒税法はいわゆる国内法(日本国内においてのみ適用される法律)ですから、海外で契約をした場合、適用されるのはその販売される海外の法律になります。
つまり、このように酒税法は国内法だからという解釈だけでみると、一般酒類小売業免許などの小売免許だけであっても、海外の商社と海外で契約した場合、輸出することができるようです。税務署の判断としては、輸出先の国が輸出酒類卸売業免許でなければ取引できないなどの事業のない限り、一般酒類小売業免許でも問題ないようです。
今後、通達等で整備されていくとは思いますが、コンプライアンスを重視するのであれば、輸出酒類卸売業免許の取得はされたほうがよいでしょう。
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