酒販情報

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輸出用清酒製造免許とその取得方法
2022年12月25日(日)

「日本酒」の輸出拡大に向け、令和3年4月から新たに創設された酒類製造免許になります。
今までの製造免許のように清酒最低数量基準60klが適用されないため、少量の製造からでもこの製造免許の取得が可能となります。
ただし、米及び米こうじに国産米を用いて製造しなくてはなりません。

この免許の創設により、高付加価値をつけた日本酒の少量製造も可能となり、日本酒のブランド化、ブランド価値の確保・向上を図ることとされています。

輸出用清酒製造免許を取得して、製造した清酒(日本酒)は原則輸出用であり国内販売はできません。次の場合で輸出するために必要な行為として無償で提供する場合に限り、国内への課税移出(酒税は課税されます。)が可能です。

・国内で開催される輸出のための商談会等に使用する場合
・商社等の輸出業者へサンプルとして提供する場合
・国税局が実施する品質審査等に提出する場合

輸出用清酒の未納税移出(酒税の免税)について

輸出用清酒製造場から輸出のために移出するため、

・輸出業者の輸出酒類蔵置場へ移出する場合
・輸出するまでの間、自己の他の酒類の製造場又は蔵置場へ移出する場合
・容器詰めのため、他の酒類製造者の製造場又は蔵置場へ移出する場合
・容器詰めのため、他の酒類製造者の製造場又は蔵置場へ移出され、その清酒を自己の酒類製造場又は蔵置場へ移出する場合
・輸出用清酒の原料として使用する酒類(清酒を除く)を移出する場合

酒税法上の清酒とは

・米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
・米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料のうち、政令で定める物品の重量が米、米こうじの重量の50%を超えないものに限る。)
・清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

清酒の原料となる糖類には「ぶどう糖以外の糖類ででん粉質物を分解したもの」とあり、これは水あめの他、米を原料として加水分解して精製した糖類のことです。

輸出用清酒製造免許の人的要件

1.申請者が酒類等の製造免許若しくは酒類販売業免許又はアルコール事業法の許可取消処分を受けた者である場合には、取消処分を受けた日から3年経過していること
2.申請者が酒類の製造免許または酒類の販売業免許、アルコール事業法の許可の取り消し処分を受けたことがある法人の役員で、取消原因があった日以前1年以内にその法人の業務を執行する役員であった者の場合には、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していること
3.申請者が申請前2年以内において国税又は地方税の滞納処分を受けたことがないこと
4.申請者が国税又は地方税に関する法令に違反して、罰金の刑に処せられ又は通告処分を受けた者である場合には、罰金の執行を終わり又は通告の履行をした日から3年を経過していること
5.申請者が、法令に違反し、罰金刑、禁錮以上の刑に処せられた者である場合には、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること

場所的要件

輸出用清酒製造免許の製造場が酒場、旅館、料理店等と同一の場所でないこと

経営基礎要件

酒税法10条10号では、以下のように定められています。

1.免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合
2.その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないこと

「経営の基礎が薄弱でないこと」とは、具体的には、次のことをいいます。

申請者等が次のに掲げる場合に該当しないかどうか

(注) 申請者等とは、申請者が法人のときは代表者又は主たる出資者をいいます。

・現に国税若しくは地方税を滞納している場合
・申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合
・最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合
・最終事業年度以前3事業年度のすべての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている場合

(注) 「資本等の額」=資本金+資本剰余金+利益剰余金-繰越利益剰余金

・酒税に関係のある法令に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発されている場合
・製造場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、店舗の除却若しくは移転を命じられている場合
・清酒の製造免許を付与された場合において、当該製造者が今後1年間に納付すべき酒税額の平均3ヶ月分又は製造免許申請書に記載している清酒の製造予定数量に対する酒税相当額の4ヶ月分のうち、いずれか多い方の金額以上の担保を提供する能力がないと認められる場合
・申請者、その役員が事業経歴その他から判断し、適正に清酒を製造するのに十分な知識及び能力を有すると認められる者
・申請者が、清酒を適切に製造するために必要な所要資金等並びに製造又は貯蔵等に必要な設備及び人員を有する者であって、清酒の製造に関して安定的な経営が行われると認められる場合であること(通帳のコピーなど資金を証明する書類が必要)
・清酒の製造に必要な原料の入手が確実と認められること
(仕入先との取引承諾書などで証明します。)
・申請者(従業員を含む)がこれまで食品等を輸出した経験があること
(履歴書記載の職務経歴などで判断されます。)
・申請者が海外における取引先等の輸出先を確保していること
(輸出先との取引承諾書などで証明します。)

製造技術・設備要件

1.技術的要件
申請者は、醸造・衛生面等の知識があり、かつ保健衛生上問題のない一定水準の品質の酒類を継続的に供給することができ、不測の事態が生じた場合に対応できる能力を有すること

※製造計画や製造工程、製造技術者の経歴、人員、品質設計、品質管理、研修の体制等から総合的に判断されます。必要な技術的能力をもっている方を雇用することで技術的能力は満たします

2.設備要件
酒類の製造又は貯蔵等に必要な機械、器具、容器等(精米機やしぼり機、瓶詰機、麹室など)が十分備わっていることと、製造場が工場立地法、下水道法、水質汚濁防止法、食品衛生法等製造場の設備に関する法令等に抵触していないこと
他の法令で許可等が必要な場合もあります。

当事務所では全くの未経験の方の酒類製造のご支援等も行っております。酒類の製造業をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。

著者情報
行政書士 那須隆行
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2009年1月行政書士事務所開業 ミライ行政書士法人代表。
行政書士業務の中でも専門的に 酒類販売業免許申請を代行して います。
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