酒販情報
目次
1. 有機酒類の表示にはJAS認証が「義務」となりました
酒類製造・販売事業者の皆様が今、実務上最も注視すべき法改正は「有機酒類」に関する表示ルールの変更です。これまで酒類における「有機」や「オーガニック」の表示は、国税庁の告示に基づく表示基準で運用されてきましたが、2023年(令和5年)10月1日より、酒類がJAS法(日本農林規格等に関する法律)の対象に追加されました。
この改正により、お酒に「有機」と表示して販売するためには、登録認定機関による審査を経て有機JAS認証を取得し、有機JASマークを貼付することが「義務」となりました。従来の自主的な基準から、法に基づく厳格な認証制度へ完全移行したことを、て強く認識いただくようお願いいたします。
2. なぜ今、JAS法と酒販免許の関連知識が必要なのか
法改正への対応を怠ることは、単なる表示ミスではなく、法令違反としての法的リスクを負うことを意味します。主な理由は以下の2点です。
- 国際基準への適合と信頼性の確保
今回の改正は、有機食品全体の信頼性確保に加え、アメリカやEUといった主要諸国との「同等性」を確保し、有機酒類の輸出入を円滑化する狙いがあります。国際基準に準拠した認証取得は、ブランド価値の向上に直結します。 - 経過措置期間の終了とコストリスク
2025年(令和7年)9月30日までは従来の表示基準による継続販売が認められる「経過措置期間」です。輸入酒類であれば、9月30日までに通関手続きした酒類は改正前のラベル表示でよいです。
しかし、これはあくまで既存在庫や旧ラベルへの猶予であり、新規開発商品についてはかかるコストも考え、JAS認証を目指すべきです。
法改正による主な変更点:
- 根拠法の移行: 国税庁告示からJAS法(農林水産省管轄)へ。
- 第三者認証の必須化: 登録認定機関による書面・実地審査が必須。
- JASマークの独占: 認証業者以外による「有機」表示やJASマーク貼付は禁止。
3. 有機JAS認証の基準と表示ルール
「有機酒類(有機農畜産物加工酒類)」として認可されるには、以下の厳格な基準をクリアし、割合に応じた適切な表示を行う必要があります。
原材料と製造工程の条件
- 原材料: 水と加工助剤を除き、全重量の95%以上が有機原材料であること。
- 工程管理: 物理的・生物的機能を利用した製造に限定。遺伝子組換え技術(組換えDNA技術)や、殺菌・保存目的の放射線照射は一切禁止されています。
原材料の使用割合に応じた表示ルール
ラベル表示は、原材料の割合によって以下のように厳密に区分されます。
| 有機原材料の割合 | 表示可能な名称例 | JASマーク | 表示の技術的ルール |
|---|---|---|---|
| 95%以上 | 有機清酒、オーガニックワイン等 | 貼付必須 | 品目の前後に「(有機農畜産物加工酒類)」と記載。 |
| 50%以上 95%未満 | 有機○○使用 | 貼付不可 | 品目近接場所に「(有機農畜産物○%使用)」と記載。**1%単位または5%刻み(端数切り捨て)**で表示し、文字サイズは商品名等より小さくすること。 |
| 50%未満 | 有機○○使用 | 貼付不可 | 文字サイズに厳格な制限あり。酒税法上の義務表示事項(品目除く)や飲酒防止警告のフォントサイズを超えてはならない。 |
4. 認証取得の手続きプロセスと費用目安
認証取得には、組織体制の整備と一定のコストが必要です。実務的な費用の全体像を提示します。
認証の手順と体制
- 講習会の受講: 「品質管理責任者(酒類製造・試験等に3年以上従事)」等が講習を修了すること。
- 内部規程の策定: 製造、受入れ、格付等の管理規程を整備。
- 申請と審査: 書類審査および検査員による実地検査(受理から認証まで約90営業日が目安)。
費用の目安(初年度・JONA等認定機関の試算例に基づく)
認証には、申請料以外に継続的な維持費が発生します。
ここまでのコストを考えると、認証を取得すべき酒類についてもよく考えて決めるべきでしょう。
- 法人(団体):約200,000円〜(認証申請料、審査費、報告書作成費等の合計)
- 個人事業主:約70,000円〜
- 別途必要な費用:
- 講習会受講料: 15,000円〜20,000円程度。
- 検査員交通費: 実地検査の際の実費。
- 運営協力費: 認証取得後、対象商品の**売上金額の0.4%**程度。
5. 酒販免許保持者が直面する実務上の注意点
免許事業者が「仕入れ」「輸入」「詰め替え」を行う際、特に注意すべきポイントが2点あります。
- 「小分け業者」認定の重要性
たとえ仕入れた元の商品(大樽やバルク)にJASマークがあっても、自社で瓶詰め(小分け)や再ラベル貼りを行う場合、**「認定小分け業者」**でなければ、その容器にJASマークを貼付したり「有機」と表示したりすることはできません。無断での小分け表示はJAS法違反となります。 - 輸入酒類の特例と「同等国」
日本と「同等性」を認めている国からの輸入であれば、相手国の政府機関等発行の証明書を添えることで、国内の認定輸入業者が自らJASマークを貼付可能です。- 対象国例: アメリカ、EU(フランス、ドイツ等)、イギリス、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、スイス、ニュージーランド、台湾。
6. 価格コストも考え、認証取得をご検討ください
JAS法への適合は、単なるラベルデザインの変更作業ではありません。品質管理責任者の選任や内部管理規程の構築、そして複雑な認証申請書類の作成など、酒販免許の実務と深く連動した高度な法務判断が求められます。
特に2025年9月の経過措置終了が近づくにつれ、審査機関の混雑も予想されます。ミライ行政書士法人では、酒販免許申請で培った専門知見を活かし、現在の管理体制の診断からJAS認証取得支援までを一気通貫でサポートいたします。
貴社の高付加価値な商品を法的リスクなく販売を行うため、まずはミライ行政書士法人へご相談ください。実務に即した確かなアドバイスで、スムーズな法適合を全力でバックアップいたします。

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