酒販情報
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ロシアへ日本酒、焼酎を輸出するには
ロシアは、酒類の輸出数量世界第6位(平成24年6月国税庁速報)で、2011年の輸出実績は6億円です。
現在、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、東京産の酒類については輸出停止されており、それ以外の産地の酒類は、ロシアで検査を実施されます。
ロシアに輸出する場合には、日本において輸出酒類卸売業免許が必要になります。
ロシアへ輸出時の規制
1. 強制適合申告書(GOST-R)
ロシア市場で流通させる大多数の製品には、品質・安全規格であるGOST-R、TR(Technical Regulation:技術規則)に適合している証明が必要で、輸入品については通関書類として提出が求められます。
ロシア第982号規則及び改定規則第149(2010年3月17日)、第848(2010年10月20日)、第906(2010年11月13日)によりアルコール製品(注)には強制適合申告(Declaration of Compliance)が必要となっています。申告手続きは輸入者側が行いますが、検査のためのサンプル送付や各種書類の提供を求められる可能性があります。
*強制:取得が法律で義務付けられているもの。2. 衛生関連要件(関税同盟国家登録証明書:State Registration of Custom Union)
関税同盟国家登録証明書は、かつての「衛生証明書」に代わる書類で、通関書類として必要です。
アルコール製品(度数に関係なく)は、ロシア、ベラルーシ、およびカザフスタンの関税同盟委員会(CCU)決定第299号により、国家登録(State Registration)が必要となっています。
製造者は通関時までに、ロシア連邦消費者権利保護・福利監督庁(Rospotrebnadzor)から取得しておかなければなりません。通常は、GOST適合証明書発行機関の認証機関が代行申請するのが一般的です。取得には1カ月~2カ月を要するといわれていますので、十分に余裕をもった計画が必要です。 提出する日本語の書類は、全てロシア語翻訳が必要です。取得の順番は、「関税同盟国家登録証明書」を取得後、強制適合申告書の取得となります。3. 酒税印紙(Excise Stamps)
輸入アルコール製品には特別な印紙を貼付します。この印紙は、輸入者の申請に基づいてロシア税関当局が作成するものですが、取得手続きに最低2カ月、実際はそれ以上かかることも多いとされています。印紙は、ロシアへ輸入する前に製品に貼付しなければなりません。
4. 輸入許可
アルコール製品は「輸入許可」の対象となっています。輸入許可証の取得自体は比較的容易ですが、発行対象者が、アルコール製品の「購入、保管、および販売」に対する国内ライセンスを保有している輸入者に限られています。このライセンスの取得および維持の条件は非常に厳しいので、ライセンスの一時停止、解除が発生しないような信頼性の高いロシアのパートナーを選ぶことが重要です。
(ジェトロから引用)
関税および諸税
1. 輸入関税およびVAT(付加価値税)
日本酒(HS番号2206に該当) 20% そのほかに付加価値税(VAT) 18%
焼酎(HS番号2208に該当) 2ユーロ/L そのほか付加価値税(VAT)18%2. 物品税:年ごとに変わるため、あらかじめ調べておいた方がよいでしょう。
(ジェトロから引用)
販売時の規制
1. 販売業者の義務
アルコールの小売販売には販売する地区のライセンスが必要です。また、以下のアルコール販売は禁止されています。
- 18歳未満の消費者への販売
- 医療機関、教育機関、児童施設における販売
- 文化およびスポーツ関連機関や施設における販売
- 公共交通機関での販売
- 必要なラベル表示がない状態(酒税印紙およびアルコールが有害であるという警告を含む)での販売
- 15%を超えるアルコール製品の場合は、非常に混雑した場所(鉄道駅、空港、地下鉄の駅、食品卸売市場)および周辺、ならびに移動式売店(キオスク、テントなど)での販売
- 地域によっては、夜間の度数の強いアルコール類の販売が既に禁止されていますが(禁止時間帯は各地域によって異なる)。間もなく連邦レベルで禁止される模様です。
2. ラベル表示の義務
アルコール製品には、ロシア語で以下の情報を表示しなくてはなりません。ただし直接容器に印刷することは求められていないので、ステッカー等ラベルを使用して、ロシアへの輸出直前または通関時に貼付することも可能です。
- 製品名
- 製造業者の名称、国および住所、商標(商標がある場合)
- 消費者のクレームに対応する企業名およびその住所(輸入者等)
- 包装内の製品容量(容量、重量など)
- 保存可能期間
- 組成分(全成分を表示)
- 栄養価
- 保管条件(特別な条件がある場合)
- 製造日(ボトル詰めした年月日)
- 強制適合証明(GOST-R規格)に関する情報
- 製品に含まれる遺伝子組み換えの物質または有害物質の有無に関する情報
- アルコール製品の有害な影響に関する警告表示:警告の文言は「アルコールは、小児、18歳未満の青少年、妊娠中や授乳期の女性、ならびに中枢神経系・腎臓・肝臓・消化器官に疾患を有する者には禁忌とされている」という内容であることが決められています。
(ジェトロから引用)
容器に関する要件
容器に関する基準は特にありませんが、最低要件として、製品の安全性および品質を保ち、開封されたことが分かるパッケージにする必要があります。
ロシア側輸入者との契約の際は、価格交渉の際にライセンス取得、認証検査、登録にかかる費用をどちらが負担するかを協議し、また船積み時期については認証取得や登録完了までの時間を勘案して十分余裕を見る必要があります。輸入者が既に決定している場合は、日本側での検査、登録の必要性の判断や、ロシア側での登録手続き、ラベル作成などについて輸入者に協力してもらうことをお薦めします。
(ジェトロから引用)