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EUへの日本酒、焼酎の輸出

 

EU(欧州連合)向け日本酒・焼酎輸出の完全ガイド

近年、ヨーロッパ全域での和食ブームや日本食レストランの普及に伴い、フランスやドイツをはじめとするEU諸国への日本酒(清酒)や本格焼酎・泡盛の輸出が大きく拡大しています。2019年の日EU・EPA(経済連携協定)の発効により、日本酒や焼酎の関税は即時撤廃され、EU市場への参入障壁は大幅に下がりました。

本記事では、日本酒・焼酎をEU加盟国へ安全かつ円滑に輸出するために必要な日本の酒類販売業免許放射性物質規制の最新状況(完全撤廃)日EU・EPA適用後の税率、およびFIC規則に基づく最新のラベル表示・容器ルールをわかりやすく解説します。

1. 日本国内で必要な酒類免許と手続

日本国内からEU域内へお酒を直接輸出する場合、通関手続きだけでなく、日本の酒税法に基づく適切な販売業免許の取得が必須となります。

  • 輸出用酒類卸売業免許: 自社製造の酒類、または国内仕入れした酒類を海外事業者へ直接卸売・輸出する際に必要な免許です。
  • 輸出入酒類卸売業免許: 輸出に加えて、海外からの輸入酒類の卸売も並行して行う場合に取得します。
ポイント: すでに「一般酒類小売業免許」等を保持している場合でも、海外の事業者へ直接輸出取引を行うには「輸出用酒類卸売業免許」等の別途取得が必要です。審査には通常2〜3か月程度を要するため、事業計画に合わせてお早めの手続きを推奨いたします。

2. EUによる放射性物質輸入規制(撤廃済)

かつて東日本大震災に伴いEU側で課されていた日本産食品に対する放射性物質規制(産地証明書や放射性物質検査証明書の添付義務)は、2023年8月3日をもって全面的に撤廃されました。

現在では、日本酒・焼酎を含むすべての日本産食品について、EU輸出時の放射能関連証明書の添付は一切不要となっており、通常の手続きでスムーズに通関が可能です。

3. EUでの輸入・販売ライセンス

EU域内への日本酒・焼酎の商業輸入に関しては、EU統一の特別な個別輸入ライセンス(Import License)は原則として求められません。

  • 商業輸入: 通常の一般食品・飲料と同様の輸入通関手続き(税関申告、安全基準の遵守)で輸入が可能です。ただし、一度に10,000リットルを超える大量の蒸留酒(焼酎等)を輸入する場合など、特定のHSコードにおいては例外的に当局の承認等が必要となるケースがあります。
  • 加盟国ごとの販売資格: 輸入されたお酒を各加盟国内で卸売・小売販売するための登録やライセンス制度(例:イタリアの税務倉庫登録やベルサーニ法等)は、流通先となるEU加盟国それぞれの国内法に従います。

4. 関税・付加価値税(VAT)・物品税(酒税)

EU加盟国へ日本酒・焼酎を輸出する際の各税金の適用状況は以下の通りです。

税種 日本酒(清酒 / HS2206.00) 焼酎・泡盛(蒸留酒 / HS2208.90) 備考
関税(Customs Duty) 0%(無税) 0%(無税) 日EU・EPA適用(原産地自己申告・証明が必要)
付加価値税(VAT) 加盟国ごとに異なる
(概ね17%〜27%程度)
加盟国ごとに異なる
(概ね17%〜27%程度)
輸入国(フランス20%、ドイツ19%、イタリア22%等)の標準税率が適用
物品税(Excise Duty) 加盟国ごとの規定に基づく 加盟国ごとの規定に基づく EU指令の最低税率基準を満たした上で、各国の酒税率が適用
【重要】日EU・EPAによる関税撤廃
2019年2月1日の「日EU・EPA(経済連携協定)」発効に伴い、日本原産の日本酒(清酒:HS2206)および焼酎(蒸留酒:HS2208)に対するEUの関税は即時撤廃(0%)されました。EPAに基づく原産地手続きを行うことで、関税負担なしでEUへ輸入が可能です。

5. EU最新ラベル表示規制(FIC規則準拠)

EU域内で販売・流通させる食品およびアルコール飲料は、EU食品情報規則(FIC規則:(EU) No 1169/2011)に基づき、販売先加盟国の指定言語(単一または複数)でのラベル表示が義務付けられています。

【必須表示項目一覧】

  1. 法定名称(Denomination): 清酒は「Sake」、または発酵飲料としての法定名称。商標・ブランド名のみの表記は不可。
  2. 原材料名(Ingredients): 使用原料(米、米麹、醸造アルコール等)を重量順に表示。
  3. アレルゲン物質の明記: 亜硫酸塩(酸化防止剤)等の特定アレルゲンが含まれる場合は、太字や下線などで明確に視覚強調を行う。
  4. 正味量(Net quantity): 「ml」「cl」「l」のいずれかで表示。
  5. アルコール度数(Alcoholic strength): アルコール分1.2%以上の飲料は、数値の後に「% vol」を表記(例:15.0% vol)。許容誤差範囲は規則に基づく。
  6. 原産国表示(Country of Origin): 原産国を明記(例:Product of Japan)。
  7. EU域内の事業者情報: EU域内に所在する輸入業者または責任販売業者の名称(社名)および住所。
  8. ロット番号(Lot number): トレーサビリティ確保のためのロット番号(記号「L」に続けて表示)。
  9. 賞味期限・保存条件: アルコール度数10%以上の酒類は原則として賞味期限の表示免除。ただし生酒等、品質維持のために冷蔵管理が必要な場合は適切な保存方法を表記。
【補足】加盟国独自の最新環境ラベル規則に注意
EUの包装・包装廃棄物指令(PPWD)に基づき、フランス(Trimanロゴ・分別ガイドライン)やイタリア(環境ラベル義務化)など、加盟国によっては容器包装の素材識別やリサイクル方法を示す「環境ラベル」の表示が義務化されています。現地輸入業者と事前に確認の上、バックラベルのデザインを作成することが強く推奨されます。

6. 容器容量規制

EU指令(2007/45/EC)により、事前包装製品の標準容量制限は大幅に緩和されていますが、一部のワインや特定の蒸留酒には指定容量ルールが維持されています。

日本酒(Sake)は醸造酒(HS2206)に分類されるため、ワイン(HS2204)の容量制限規定の対象外とされ、日本の伝統的な四合瓶(720ml)一升瓶(1,800ml)での輸出・流通が広く行われています。ただし、醸造アルコールの添加比率やアルコール度数、または蒸留酒(焼酎)の場合は指定容量(700ml, 500ml等)の適用を受ける可能性があるため、事前に輸出国側の法規を確認することが重要です。

まとめ:EU輸出成功へのポイント

日本酒・焼酎のEU市場向け輸出を成功させるためのステップは以下の通りです。

  1. 国内免許の確認・取得: 輸出用酒類卸売業免許等の整備
  2. 日EU・EPAの活用: 原産地自己証明書類を準備し、関税0%の適用を受ける
  3. 現地ラベルコンプライアンス: FIC規則(言語、アレルゲン強調表示等)および販売国の環境ラベルに適合したラベルの作成
  4. 信頼できる現地パートナーの選定: 通関・域内流通および各国特有の酒類規制に精通した現地輸入業者との提携