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韓国へ日本酒を輸出するには

日本酒(清酒)の海外輸出において、韓国はトップクラスの主要輸出先(数量・金額ともに世界トップレベル)となっており、現地での日本食人気の定着や和酒需要の高まりに伴い、非常に魅力的な市場となっています。

しかし、日本から韓国へ日本酒やその他の酒類を輸出・販売するには、日韓双方でのライセンス(免許・申告)取得、放射性物質証明書の準備、RCEP(地域的包括的経済連携)協定を活用した税率・関税構造の理解、現地での食品衛生法・表示規制への対応が不可欠です。

本記事では、最新の規制情報や実務手順に基づき、韓国へ日本酒を輸出する際のポイントを分かりやすく解説します。

1. 日本側で必要な免許と韓国側の輸入規制

日本側:輸出酒類卸売業免許の取得

日本国内から韓国の事業者に酒類を仕入れて卸売(輸出)する場合、事前に税務署から「輸出酒類卸売業免許」を取得する必要があります。

  • 仕入れ先が酒類製造業者(蔵元)であっても酒類卸売業者であっても、海外への卸売行為には本免許が必要です。
  • 例外(蔵元自身の直接輸出):自社で製造した酒類を自ら直接韓国へ輸出する場合は卸売業者向けの免許は不要ですが、所轄税務署への事前の届出や確認が必要です。

韓国側:酒類輸入業免許と事業要件

韓国国内で酒類を輸入・流通させる取引先(輸入業者)は、韓国の税務署で「酒類輸入業免許(주류수입업면허)」を取得しており、かつ対外貿易法に基づく「貿易業固有番号」を保有している必要があります。

【韓国の酒類輸入業免許の主な要件】

  • 資本金(資産):法人の場合は資本金5,000万ウォン以上、個人の場合は評価資産5,000万ウォン以上
  • 保管設備:22㎡以上の保管倉庫を保有すること
  • 専業要件:原則として酒類輸入業を専業とすること(製造業者や輸出仲介業者などを除く)

※輸入業免許のみでは卸売販売が可能ですが、輸入業者が韓国国内で一般消費者に直接小売販売も行う場合は、別途「酒類小売業免許」または指定の申告が必要です。

2. 食品等輸入販売業申告と放射性物質証明書

食品医薬品安全処(MFDS)への申告

韓国でアルコール飲料を輸入・販売する際は、韓国の食品医薬品安全処(MFDS)に対して「食品等輸入販売業」の営業申告を行い、輸入の都度、食品衛生法に基づく検査・申告を受ける必要があります。

放射性物質に関する証明書の提出

東日本大震災以降、日本から韓国へ輸出する食品・酒類に対しては、製造地域や時期に応じた証明書の添付が義務付けられています(国税庁/国税局による証明書発行)。

対象地域・時期 求められる証明事項
平成23年(2011年)3月11日以前に製造された酒類 製造日に関する証明書(製造時期の証明)
指定13都県以外の地域で製造された酒類
※北海道、京都、大阪、福岡など
産地証明書(製造場所が13都県外であることの証明)
指定13都県で製造された酒類
※福島、宮城、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、長野、静岡
放射性物質検査証明書
登録検査機関での検査により、放射性ヨウ素・放射性セシウムが韓国の基準値以下(ヨウ素:300Bq/kg以下、セシウム:100Bq/kg以下)であることを証明

3. 容器基準およびラベル表示(表示義務)

韓国へ酒類を輸出し現地で流通させるには、現地法に基づいたラベル表示(ハングル表示)および容器適合基準を満たす必要があります。

① 容器・衛生検査基準

ガラス瓶、缶、紙パックなどの容器およびキャップ(金属製樽を除く)は、初回輸入時に韓国の食品衛生試験機関による検査を受け、使用適格判定を得る必要があります。

② 韓国語表示(ラベル表示)義務

輸入酒類には、韓国語による主ラベルまたは補助ラベル(バックラベル)の貼付が義務付けられています。記載必須事項は以下の通りです。

  • 酒類の種類(例:清酒/약주・청주)
  • 輸入業者名および所在地、電話番号
  • 原産国(日本)
  • アルコール度数(%)および内容量(ml)
  • 原材料名および添加物
  • 開封後の保管方法および注意事項(警告文言含む)
【補足:用途区分表示制について】
韓国では過去、不法流通防止のために「家庭用」「業務用」等の用途区分表示が義務付けられていましたが、日本酒(清酒)については用途区分表示制の適用対象から除外されています(焼酎・ビール・ウイスキー等は対象)。

4. 輸入関税および税金(税金計算の構造)

韓国へ酒類を輸入する際は、「関税」「酒税」「教育税」「付加価値税(VAT)」の4種類が段階的に課税されます。

特に日本酒(清酒)においては、RCEP(地域的包括的経済連携協定)の適用により、今後の関税構造・税率が注目されています。

酒類ごとの税率一覧

酒類区分 HSコード 輸入関税率 酒税率 教育税率 付加価値税(VAT)
日本酒(清酒) 2206.00.2010 15%
(RCEP協定税率適用)
30%
(CIF+関税に対し)
10%
(酒税額に対し)
10%
(すべての合計額に対し)
ワイン(ぶどう酒) 2204 15% 30%
(CIF+関税に対し)
10%
(酒税額に対し)
10%
(すべての合計額に対し)
焼酎(蒸留酒類) 2208.90 30% 72%
(CIF+関税に対し)
30%
(酒税額に対し)
10%
(すべての合計額に対し)
【日本酒の税関計算シミュレーション(例:CIF価格1,000円の場合)】

  1. 関税:1,000円 × 15% = 150円
  2. 酒税:(1,000円 + 150円) × 30% = 345円
  3. 教育税:345円 × 10% = 34.5円
  4. 付加価値税:(1,000 + 150 + 345 + 34.5) × 10% = 152.95円
  5. 税金合計:約 682.45円(仕入原価に対して約68%の税負担が発生します)

5. 手続きの全体の流れ(まとめ)

  1. 日韓双方の免許確認・パートナー選定
    日本側で「輸出酒類卸売業免許」を取得し、韓国側で「酒類輸入業免許」を持つ事業者と契約します。
  2. 産地証明書・放射性物質証明書の調達
    製造蔵元から詰口帳等の書類を入手し、国税局へ証明書の発行を申請・取得します。
  3. 韓国現地ラベルの作成と事前確認
    韓国食品衛生法に適合するハングル表示ラベルを作成し、現地輸入業者を通じて表示漏れがないか確認します。
  4. 輸出通関および現地輸入通関
    貨物を発送し、証明書を添付の上で日韓双方の税関手続き・衛生検査を経て現地流通を開始します。