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日本酒・ウイスキーを輸出するための免許|輸出酒類卸売業免許の要件と取得の流れ
2026年08月20日(木)

日本産の酒類の輸出は拡大を続けています。当法人にも、日本酒・焼酎・ウイスキー・梅酒を海外へ売りたいというご相談が全国から寄せられます。

その入口となるのが、輸出酒類卸売業免許です。

この記事では、輸出に必要な免許の種類、審査の中心となる「輸出することが確実であると認められる」という要件の実務、そして申請前に準備すべきことを整理します。

1. 輸出に必要な免許は4つのうちいずれか

海外の業者へお酒を販売するために取得できる免許は、次のいずれかです。

① 輸出酒類卸売業免許

輸出のために取得する、もっとも標準的な免許です。免許交付可能件数の枠がなく、要件を満たせば新規取得が可能です。

免許には販売条件が付されます。たとえば梅酒とウイスキーを輸出する場合、

「酒類の販売方法は自己が輸出するリキュール及びウイスキーの卸売に限る。」

日本酒・焼酎・梅酒・ウイスキーを輸出する場合、

「酒類の販売方法は自己が輸出する清酒、単式蒸留しょうちゅう、リキュール及びウイスキーの卸売に限る。」

条件に書かれていない品目は輸出できません。将来的に日本酒も扱う可能性があるなら、申請の段階で仕入先・輸出先の双方から取引承諾書をもらっておいてください。後から品目を追加するには条件緩和の手続きが必要になります。

② 洋酒卸売業免許

ワイン、梅酒、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュール、雑酒など、日本酒・焼酎・ビール・みりん以外を扱える免許です。国内販売も輸出もできます。

日本酒や焼酎を輸出しないのであれば、この免許のほうが国内取引の自由度が高く、使い勝手が良い場合があります。

③ 全酒類卸売業免許

すべての酒類を、国内販売・輸出を問わず卸売できる免許です。ただし取得は極めて困難です。年間100キロリットル以上の販売見込みが必要で、毎年9月に申込み、10月の抽選に当選しなければなりません。東京・大阪・愛知以外では当選枠が年1件程度です。

なお、この免許を持っていれば、輸出酒類卸売業免許を別途取得しなくても輸出できます。免許の条件が「酒類の販売は卸売に限る」となっており、輸出を除外していないためです。

④ 輸出入酒類卸売業免許(輸入も行う場合)

海外から輸入して国内業者へ卸すのであれば輸入酒類卸売業免許、双方を行うなら輸出入酒類卸売業免許です。なお輸入酒類卸売業免許は、自己または自己と密接な関係にある特定の者が輸入した酒類の卸売に限られます。他者が輸入した酒類も扱う場合は、品目に応じた別の卸売業免許の区分で処理されます。

免許が不要な場合

酒類製造者が、自社の製造場から自ら製造した酒類を輸出する場合、販売業免許は不要です。蔵元・ワイナリー・蒸留所が自社商品を直接輸出するケースがこれに当たります。

2. 審査の中心は「輸出することが確実であると認められる」こと

輸出酒類卸売業免許の審査で最大の関門は、この一点です。

法人であれば役員、個人であればその方のこれまでの事業経験・職務経験と、輸出することが確実であると認められることが判断基準となります。

「輸出することが確実」という文言は非常に曖昧で、担当する酒類指導官によって求められる説明の水準が大きく異なります。酒類販売の従事経験が必要だと言われることも、輸出業務の経験を問われることもあります。

しかし本質はそこではありません。輸出が確実であることを客観的に示せれば、それらの経験は必須ではありません。

示すための書類は「取引承諾書」

仕入先(蔵元または卸売業免許を持つ業者)と、海外の販売先の双方から取引承諾書を取得します。

契約書のような厳格な形式である必要はありません。申請の段階ではまだ免許がなく、実際に販売できる状態にないためです。次のような覚書程度で足ります。

・○○が販売予定している酒類を売買することについて承諾する。
・○○が輸出酒類卸売業免許を1年以内に取得しなければ失効する。

海外の取引予定先との承諾書は、原則として英文で作成します。相手方の言語でも構いませんし、相手が日本語を熟知していれば日本語でも差し支えありません。英文または外国語で作成した場合は、和訳文の添付が必要です。

つまり、申請前に販路が決まっている必要があります

ここが多くの方の想定と食い違うところです。「免許を取ってから輸出先を探そう」という順序では申請できません。申請の時点で、仕入先・輸出先・輸出スキームがある程度確定していなければならないのです。

国内の仕入先は確保できても、海外の輸出先が見つからないというご相談は非常に多くいただきます。当法人では海外に拠点を持つ提携先を通じて、輸出先のご提案も行っております。

3. 経営基礎要件

免許を受けるには、経営の基礎が薄弱でないことが求められます。具体的には次のとおりです。

  • 直前期の貸借対照表で、繰越損失が資本等の額を上回っていないこと(債務超過でないこと)
  • 直近3期すべてで、資本等の額の20%を超える損失を出していないこと(1期でも黒字であれば要件を満たします)
  • 国税・地方税を滞納していないこと
  • 申請日より1年以内に銀行取引停止処分を受けていないこと
  • 年間輸出見込量の2か月分の仕入資金を有していること

新設法人の場合、決算実績がないため過去の財務内容は審査されません。この点では、既存企業より新設法人のほうが有利な場面もあります。

4. 事務所は小さくて構いません

「輸出だから、20フィートコンテナが置ける倉庫が必要では」と身構える方が多いのですが、申請時に大掛かりな倉庫は必要ありません。

実際の輸出時には倉庫を借りる、あるいは蔵元から直送してもらうケースがほとんどです。当法人が申請したケースでは、1〜3人程度のオフィスで免許が交付された実績があります。

ただし、マンションやアパートなどの共同住宅を販売場とする場合は、管理組合や大家さんの承諾が必要です。

なお、蔵元から直送する場合には蔵置所を設置しなくても酒税の免税を受けられます。

5. 国ごとの規制は「必ず最新情報を確認してください」

輸出先の国では、日本の免許とは別に、現地の輸入ライセンス、ラベル表示規制、容器容量規制、関税・付加価値税・酒税といった内国諸税が関わってきます。

ただし、これらの制度は頻繁に改正されます。関税率は経済連携協定の進展で毎年変わり、輸入規制も各国の判断で撤廃・緩和されます。ウェブ上の解説記事の多くは公開時点の情報で止まっており、古い情報を前提に準備を進めると、通関で止まります。

輸出先国の制度については、必ず次の一次情報で最新の内容をご確認ください。

  • ジェトロ(日本貿易振興機構) 各国の輸入規制・関税・ラベル表示
  • 国税庁 輸出証明書の発行手続、酒税の輸出免税
  • 輸出先国の政府機関 輸入ライセンス、食品安全規制

当法人では、輸出先国ごとの手続きの枠組みと、現地パートナーとの連携も含めてご案内しております。

6. 免許取得後にやること

酒税の輸出免税

酒類を輸出する場合、酒税は免除されます。免税を受けるための手続きと帳簿の要件がありますので、免許交付後に必ずご確認ください。蔵元から直送してもらう場合の取扱いは前述のとおりです。

消費税の輸出免税

輸出取引は消費税が免税となり、仕入税額の還付を受けられる場合があります。輸出許可通知書等の保存が要件になります。

記帳・報告義務

酒類販売業者としての記帳義務、毎年の酒類の販売数量等報告書の提出義務が生じます。

まとめ

  • 輸出には輸出酒類卸売業免許が標準。洋酒卸売業免許・全酒類卸売業免許でも輸出は可能
  • 自社製造の酒類を蔵元・蒸留所が自ら輸出する場合、販売業免許は不要
  • 審査の中心は「輸出することが確実であると認められる」こと。証明手段は取引承諾書
  • 申請の時点で仕入先・輸出先が決まっている必要がある
  • 承諾書は簡単な覚書で足りる。外国語の場合は和訳文を添付
  • 事務所は小規模で構わない。1〜3人のオフィスでの交付実績あり
  • 免許には品目ごとの販売条件が付く。将来扱う可能性のある品目は最初から入れておく
  • 輸出先国の規制は頻繁に変わる。必ずジェトロ・国税庁の最新情報を確認する

当法人は開業当初から酒類販売業免許を専門に扱い、輸出免許申請では全国トップクラスの実績があります。「輸出先が見つからない」「どの品目まで条件に入れるべきか分からない」——そうしたご相談から承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。

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著者情報
行政書士 那須隆行
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2009年1月行政書士事務所開業 ミライ行政書士法人代表。
行政書士業務の中でも専門的に 酒類販売業免許申請を代行して います。
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