酒販情報

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酒類に関する「公正な取引の基準」

酒類の公正な取引に関する基準の取扱い

1.取引基準2(公正な取引の基準)

酒類製造者又は酒類販売業者は、次のような取引をしてはならない。

1.正当な理由なく、酒類を販売原価(仕入金額と販売費、一般管理費の合計額)を下回る価格で継続して販売すること
正当な理由とは、
・季節限定商品の売れ残り
・賞味期限が近い
・ラベルや容器等に損傷等があるもの など

1.自社又は他の酒類販売業者や酒類製造業者の酒類販売に関する事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある取引をすること・酒類の販売原価割れ販売を行っている酒類業者の酒類の公正取引に関する過去の改善指導の状況及びその後の具体的な改善状況等
・酒類の原価割れ販売業者の酒類販売数量、売上高、販売シェアなどの事業規模(都道府県や市区町村、税務署管轄区域などの単位で判断)
・酒類の原価割れ販売業者の原価割れの程度の大きさ、その販売数量、販売期間の長さ、原価割れ販売の頻度、原価割れ対象銘柄数や種類、定価との価格差
・原価割れ酒類を目玉商品(おとり商品)とした広告の展開状況(電子メール、チラシなどの広告の配布・配信件数など)
・酒類事業に対する原価割れ販売の影響(業界の売上高の減少や利益率の低下など)
・周辺の酒類販売業者への原価割れ販売の影響(周辺の酒類販売業者の売上高の減少や利益率の低下、販売数量の減少、販売地域シェアの低下など同業者間の価格競争の状況)
※都心部や郊外での販売や通信販売、業務用販売か家庭向け販売なども考慮されます。

※合理的な理由なく取引先ごとに、その販売価格について差別的な取扱いをすることなどもこの基準違反となります。

※酒類の販売原価の販売費、一般管理費の金額については、それぞれの酒類の販売ごとに直接又は間接的に必要とする販売費と一般管理費の額を積算して算出します。
ただ、ひとつひとつの酒類の銘柄ごとに著しくこの費用の額が異なる場合以外は、一定の月や1年、年度などの期間における販売費及び一般管理費を売上高に対して按分して算出することもできます。

※「継続して販売する」とは、相当期間にわたって繰り返し販売することをいい、毎日継続して販売することや同一銘柄等を販売することを必ずしも必要とせず、
毎週・毎月、隔週・隔月で、週末や特定の日などに限って、商品・銘柄等を変えて販売する場合であっても、繰り返し販売されれば、この継続して販売するに該当します。

取引基準3、4(売上原価の算定方法)

酒類の販売原価の額は、基本的に酒類の銘柄等の製造又は仕入ごとに算出するものとし、酒類販売業者又は酒類製造業者が取り扱う酒類すべて又は清酒や単式蒸留しょうちゅうなどの酒類の品目ごと合算して算出してはならず、個々の銘柄ごとに算出する。

仕入の値引きとみなされるリベート

酒類製造業者又は酒類卸売業者が、酒類販売業者に支払うリベートは、酒類の販売原価の額の算定にあたり、原則として次の要件をすべて満たすリベートに限り、酒類の仕入れに係る値引きとみなされます。

・リベートに関する基準が明確に定められていること
・そのリベートの関する基準が取引の相手方に事前に示されていること
※リベートに関する基準の内容が取引の相手方に対して、実際の販売に先立ち書面等で示されている必要があるほか、そのリベートの全体像が示される必要があります。
・対象酒類の仕入と密接に関連するリベートであること

仕入の値引きとみなされないリベート

・年度末などに取引の事後的にその額が判明するリベート
※取引期間中の販売状況や過去の販売実績等から、リベートの受取が見込まれる場合には、その期間中の販売に対応する額を上限に、仕入の値引きとみなされます。
・裁量的に支払われるリベート
・酒類の仕入の際に添付される他の商品(食料品、仕入れに係る酒類以外の酒類など)
・広告費や販売活動の補助として支払われるチラシ協賛金、出店協賛金等
・取引の一方の当事者の認識がないまま取引の当事者以外の者から他方の当事者に支払われるもの

取引基準5(費用配賦の方法)

酒類販売事業以外のその他の事業に共通する費用の配賦に係る「酒類販売業者が選択した合理的な配賦方法」とは、各事業ごとの売上高比、仕入高比、売場面積比、作業時間数比など、事業の実情に即した合理的な理由に基づく配賦方法のことを言います。

・同時に複数の銘柄等を販売する場合に共通する費用(広告宣伝費、倉庫費、センターフィー、運送費、本社部門の人件費や通信費など)については、その銘柄ごとの売上高比、仕入高比、売場面積比、作業従事時間数比など、実情に即した合理的な理由に基づく配布方法により配賦を行った上で、それぞれの酒類の販売原価を算定します。

・研究開発費や酒類製造業者が料理飲食店に支払う契約料など、一括して支払われる費用については、酒類製造業者が事業実情に即して合理的な期間において当該費用を回収することとしていると認められる場合には、当該期間にわたって費用の配賦を行った上で、酒類に販売原価を算定します。

取引基準6(販売価格の算定方法)※ポイント値引

酒類小売業者が、酒類を販売する際に、販売価格の全部又は一部の減額に充当できるポイント等を提供する場合であって、そのポイント等の提供が値引きと同等機能を有すると認められる場合におけるそのポイントの提供は、販売価格の実質的な値引きと判断されます。

そのポイント等の提供が値引きと同等の機能を有するかどうかについては、次の要素を勘案して判断されます。

1.ポイント等を利用する消費者の割合
2.ポイント等の提供条件(購入額の多寡にかかわらず提供されるものか、一定金額の購入を条件として提供されるものなのか等)
3.ポイント等の利用条件(ポイント等が利用可能となるタイミング、ポイント等の有効期限、利用に当たっての最低ポイント数の設定の有無等)

取引基準7(指示)取引基準8(命令)

これらの公正な取引の基準を遵守するよう指示がある他、この指示に従わない場合公表されるおそれもあり、また「酒税の円滑かつ適正な転嫁が阻害され、又は阻害されるおそれがあると認められるとき」は、改善命令という処分が行われます。

この「酒税の円滑かつ適正な転嫁が阻害され、又は阻害されるおそれがあると認められるとき」とは。酒類製造業者又は酒類販売業者が、販売原価を著しく下回る価格で継続して販売し、自社又は他の酒類製造業者又は酒類販売業者の事業収支が悪化するなど、その経営内容に悪影響が生じている事実が客観的に認められ、その事態が継続すれば、将来的に酒類の円滑な取引の運行が阻害され、ひいては酒税の保全に影響を及ぼすおそれが大きいと認めるときを言います。

その他取引基準9(質問検査権)として、必要な限度において酒類製造業者又は酒類販売業者の取引金融機関、運送会社、料理飲食店などや持株会社などに質問検査がされることや取引基準10(公正取引委員会との連携)も記載されています。